残念ながら一回で完治させることは無理なのです。なぜか?痛みは、長年の身体の使い方の無意識の癖の積み重ねで、骨格に歪みが生じた結果であると考えています。長年にわたる体の使い方により歪まされてしまったので、また同じ癖で身体を使うと歪んだ状態に再びなってしまうからです。
そのため、当院では最初にお客様の身体の使い方の癖を確認いたします。悪い癖を見つけ、その癖を改めていただくよう指摘させていただくためです。
具体的には、身体の向きと立ち方、平衡感覚です。
先ず、顔の向き加減です。肩を動かぬよう押さえて、顔を左右に向けるところまで向いていただきます。見える範囲から、右は向けるが左の方が向きづらい場合、日常生活でも右を向いていることが多いのです。例えば友人との会話でも相手には右に居てほしいのです。
次は足を揃えて立っていただき、片腕ずつ下に引っ張ります。このときお客様には引っ張られないように耐えていただきます。左右の腕を引っ張ってみて、どちらかが耐え難い、つまり弱い方があります。右腕は強いが左腕が弱い場合、その方は左脚荷重で立っていることが分かります。そのことを説明して、今度は腰を左右から押して耐えていただきます。右腰を押されても耐えられる方でも、左腰を押されるとあっけなくよろけてしまいます。
過去に一時期、腰ではなく肩を押していた時期がありましたが、辛口のコメントを頂いたことがあり、より体感しやすい現在のテスト方法に変更しています。
この方な日常生活の何気ない身体の使い方の癖が、身体を歪めてしまう原因なのです。整体による矯正で歪みを整えますが、また日常生活で身体を歪めてこないように説明しています。ここでお客様との信頼関係が出来ていないと、施術により整えても、また日常生活で身体を壊してくる結果となってしまいます。
最後に足を肩幅に開いていただきます。その状態をお客様は真っすぐに立っていると感じていますが、実際には左右どちらかの足が数ミリから2cm程も後ろに下がっているケースが多いのです。それを指摘し、左右の足先が直線状に並ぶように足を動かしてもらいます。すると前に出した足の方が、身体が斜めに向いている感覚になります。これが脳の誤解なのです。
整体とはお客様の身体の歪みを矯正して歪みのない真っ直ぐな状態にすることが仕事です。お客様の脚を一直線上に揃えることは、お客様の立ち方を矯正したことと同じです。しかしお客様の脳は「これは真っすぐではない!歪んでいる!」と判断してしまっているのです。この脳の誤解が無くならないと、身体は歪みのない状態を維持できません。脳によって歪みの状態に壊されてしまうからです。
この脳の誤解をセルフで治していただく必要があります。朝晩に歯を磨きますよね?その時洗面台の下のシンクの扉に足先を付けて下さい。真っ直ぐですよね?歯を磨きながら、「これが真っ直ぐ!これが真っ直ぐ!」と言い聞かせながらやってください。自然に足を開いた時の真っ直ぐと脳の真っ直ぐ感が同じ状態になるまで続けてください。同じになると、整体で矯正された歪みのない状態を維持しやすくなります。
平均的に12回通っていいただくことが必要となります。